宅建業法改正で建物状況の説明が義務化に
2016年頃から「ホームインスペクション」という言葉が業界内で飛び交うようになりました。これは不動産業を営む者を対象にルールを規定した「宅地建物取引業法」という法律がきっかけで、建物状況調査についての説明義務化が改正宅建業法に盛り込まれたものです。ホームインスペクションが法律に盛り込まれる事になったのは、国の政策として「フローからストックへ」という方針に基づいています。
住宅を建てて、古くなったら壊してまた建てるという循環を繰り返すのではなく、築年数が経過していてもまだまだ使える住宅は大切に使っていこうという動きです。
資源の無駄使いが取り沙汰され、更には空き家が全国に800万戸以上ある実情を踏まえると自然な流れだと感じます。
中古住宅流通の活性化実現へ
中古住宅の流通を活性化させるために、国も大規模な消費者向け調査を行い、いろいろと考えたようで、中古住宅を購入する際の問題点として「建物の状態がわからないから中古より新築住宅を選ぶ」という消費者心理に注目したようです。
ではなぜ建物の状態がわからないのか?それは、中古住宅を取り扱う不動産業者の多くは建設業を行っていないため、消費者と直接対面する不動産営業マンが建築知識に乏しいことが普通なためです。不動産業者は不動産取引の専門家であって、建築知識は素人同然なのが実状なのです。
消費者にとっては不動産業者に聞けば物件の事はなんでも教えてくれると思いがちですが、残念ながら現状は真逆で、このことを原因にしたトラブルや、中古住宅を敬遠することに繋がってしまっていました。
このような現状を踏まえて、建物の専門家(建築士)による調査を実施する事で、消費者が専門家による調査の結果を知る機会を作り、安心して中古住宅を選択できるようにしたのが今回の法改正です。
ホームインスペクションの普及によって、消費者の皆さんが安心して楽しみながら、マイホーム探しができるようになれば良いなと願っています。