簡易的に算出されてしまっている不動産価格査定
ご自宅の売却を考え始めて真っ先に知りたいのは「いくらで売れるのか」だと思います。
一般的に「いくらで売れるのか」を知りたいときには地元の不動産業者や一括査定サイトで問合せする事が多いと思いますが、価格査定額とはどのように算出されているのでしょうか。
マンションの場合、同マンションや近隣類似物件の成約事例と査定対象物件とを比較し算出します。広さや階数、室内の状況などを比較し、1㎡当たりの単価に割り戻してから算出する方法が一般的です。
一戸建ての場合、土地部分と建物部分とを分けて算出されます。土地の算出方法はマンションと基本的には同じ考え方です。建物は経過年数による残存価値を単純な計算式によって算出する方法が一般的です。
マンションも一戸建ても最後に「流通性比率」という項目で+○○%や-○○%を乗じて調整される事が多いです。
物件を見ないで査定価格を算出??
計算式は簡単なので、査定対象物件の基本情報(面積や築年数など)だけで、実際に現地を見ることなく算出する事が可能で、これを「机上査定」と言われています。
現地を調査してから算出されるのが「本査定」ですが、実態としては「机上査定書」と計算式は全く同じものを採用されている事が多く、査定依頼者である所有者の顔色を見て前述の「流通性比率」を設定し、ご機嫌を損ねないような数値に調整するのが実態です。
その事を象徴するかのように、査定訪問当日に本査定書を持参する業者さんが多数存在しています。さらには意図的に査定価格を低く設定し、買取の方向に仕向けるなどモラルに反する問題が見受けられるのが実状なのです。
その事を問題視し「既存住宅流通の活性化」を政策としている国土交通省は平成26年3月に「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針のポイント」を発表しました。
次回「不動産価格査定の裏側②」では真剣に適正価格を知りたい方が依頼すべき査定手法とはどのようなものなのかをお伝えしたいと思います。