
家を購入したものの、転勤や家族構成・経済状況の変化など、さまざまな理由で手離さなければいけないことも考えられます。
住宅ローン返済中の場合は、お金の面で不安に感じる方がいるかもしれませんが、ローンが残っていても家を売ることは可能です。適切な手順を踏めば、残債があっても安心して売却を進められます。
本記事では、住宅ローン返済中の家を売る際のポイントや、買ったばかりの家でも損をしにくい物件の特徴をご紹介します。転勤などの可能性がありつつも家を購入したいという方はぜひ参考になさってください。
住宅ローン返済中の家を売る際のポイント
住宅ローン返済中の家を売る際は、通常の売却とは異なる留意点があります。
住宅ローンの残債を確認
住宅ローン返済中の物件を売却する際は、はじめに残債を正確に把握しましょう。住宅ローンを返済して今後の家を用意するための資金調達を計画するためには、残債の確認が欠かせません。
残債は、金融機関から送付される年次残高証明書などで確認できます。元本だけでなく、遅延損害金や手数料が含まれる場合もあるため、詳細な内訳を確認することが大切です。
不動産会社に査定を依頼
売却見込み価格を把握するための査定を行う際は、複数の不動産会社に依頼することが重要です。売却見込み額が住宅ローンの残債より大きいか、小さいかによってその後の計画が大きく変わります。正確な市場価値を把握するため、できるだけ多くの業者から意見を聞きましょう。
査定とあわせて住み替えのアドバイスなどが必要な場合は、住宅ローンの残債状況を正直に伝えることでより現実的な提案を受けられます。ローン返済中物件の売却に慣れている業者を選ぶことで、金融機関との調整もスムーズに進みます。
残債と売却見込み価格の比較
査定結果を受けとることができたら、住宅ローンの残債と売却見込み価格を比較しましょう。
売却価格が残債を上回る「アンダーローン」の場合は、住宅ローンを完済してスムーズに次のステップに進めます。
一方、売却価格が残債を下回る「オーバーローン」の場合は、返済不足分を自己資金で補うか、住み替えローンの利用を検討する必要があります。売却にかかる諸費用(仲介手数料、登記費用、印紙税など)も含めて方針を決めましょう。金融機関によっては、オーバーローンでも売却を認めてくれる場合があるため、事前に相談することをおすすめします。
売却計画を立てる
残債と売却価格の関係が明確になったら、具体的な売却計画を立てます。売却時期、価格設定、住み替え先および住み替え時期の検討など、総合的なスケジュールを組みましょう。
オーバーローンの場合は、返済不足金の調達や新居の購入計画も同時に進める必要があります。お金が足りないタイミングや生活拠点がない時期が発生しないように綿密に計画を立てることが大切です。
買ったばかりの家を売却する際のポイント
購入から間もない家の売却は、一般的な中古住宅の売却とは異なる特徴があります。一般的に買ったばかりの家を売ると損をしやすい傾向がありますが、適切な戦略を立てることで損失を抑えた売却が可能です。
不動産価値が下がる前に売却する
新築住宅は入居と同時に中古住宅となり、次第に価値が下落していきます。そのため、売却を決意したら可能な限り素早く行動することが、損失を最小限に抑える重要なポイントです。
好立地などの条件が整っていれば市場動向により不動産価値が下がりにくいケースもありますが、基本的には築年数による経年劣化によって価値は下がっていきます。売却することを決めたらできるだけ早く行動するようにしましょう。
居住しておらず、工事完了から1年以内なら「新築」として売れる
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」では、工事完了から1年未満で居住歴がない物件を「新築住宅」と定義しています。この条件を満たす場合は、中古住宅ではなく「新築住宅」として売りに出すことで、購入価格に近い金額での売却が期待できます。
新築として売却する場合、買主は住宅ローン減税などの優遇措置を受けられるため手を出しやすくなります。また、新築住宅を希望している方もターゲットにできるため、需要の幅も広がります。
ただし、新築として販売するためには、建築確認や登記関係の書類が整っている必要があります。売りに出す前に必要書類が揃っていることを確認しましょう。
買ったばかりの家でも損をしにくいケース
買ったばかりの家を売ると損をしやすい傾向がありますが、以下のような条件を満たす物件は購入価格に近い金額で売れるかもしれません。
- 好立地で需要の高いエリアの物件
- 都市開発などで街が整備中の物件
- 「新築」として売れる物件
- 低価格で購入した中古物件
好立地物件は市場での競争力が高く、購入価格に近い金額での売却が期待できます。また、都市開発が進行中の街は環境が年々よくなっていくことから、物件の市場価値が高まる傾向があります。
前述した「新築」の条件を満たす物件は購入時と同等の売却価格を期待できますし、中古物件はそもそも新築としての価値が付加されていないので時期が変わらなければ購入価格と売却価格はあまり変わりません。
近いうちの引っ越しが想定されるなかで家を購入する際は、上記のポイントを押さえておけばリスクを抑えられるでしょう。
おわりに
住宅ローン返済中でも家の売却は可能です。ローンの残債と売却見込み価格を比較し、綿密な住み替え計画を立てましょう。転勤などで急な売却が必要になる可能性がある方は、好立地物件や中古物件を選ぶことでリスクを抑えられます。本記事のポイントを参考に、安心できる住宅購入・売却を検討してみてください。
この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ 代表取締役 沢辺敦志(さわべあつし)
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業する。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。
【保有資格】宅地建物取引士、FP他